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覆る常識 NOKTON 35mm F0.9 Aspherical レビュー

2023年10月15日

常識外のスペックを、常識内のサイズで。

いつも本ブログをご覧頂きありがとうございます。

今回はコシナ フォクトレンダー NOKTON 35mm F0.9 Asphericalについて、レビュー記事をお届けします。

F0.9という、人間の目の明るさすら越える特殊スペックはどのような写りをもたらすのでしょうか。

○コシナの他のX-mountレンズのレビューもご覧ください!
それぞれ個性の異なる、素晴らしいレンズです。

NOKTON 35mm F1.2 レビュー
MACRO APO-ULTRON 35mm F2 レビュー

1.スペック

サイズφ72.7×64.9mm
フィルター径62mm
重さ492g
構成8群10枚
絞り羽根12枚
最短撮影距離0.35m
最大撮影倍率(フルサイズ換算)0.21倍
最小絞りF22
電子接点対応
フォーカス方式MF

常識的な携帯性

F0.9というスペックながら、重くなることがなく実用的なサイズと重量に仕上がっています。

モールド非球面レンズでなく研削非球面レンズを採用したことにより、このサイズ感を達成したとのこと。
その分、お値段にも影響が出ていますが汗

安定のビルドクオリティ

コシナ製のレンズらしく、高級感のあるビルドクリオリティです。

フォーカスリングは狙った位置でピタリと止められる、絶妙な塩梅で回転させられます。
絞りリングも自然に回ることのない、それでいて心地良いクリック感で操作ができます。

フード

今までのコシナのXマウント向けレンズと異なるのは、フードがバヨネット式という点。
そのおかげでフィルターがフードに隠れ、見た目が向上します。

また逆付けも可能ですが、絞りリングが隠れてしまう為、実際に逆付けするシーンは少なそうです。

反射を防ぐ為に植毛をされている点も好印象。

2.特徴

XマウントでNOKTONの名前だと、35mm F1.2を想像しがちですが、これは開放からコントラスト高めの高性能寄りなレンズです。
描写は安定していますが、それでいて味わいも感じられる写りをします。
F0.9かつ美しいボケが加わることにより、クラスオーバーな表現が可能なレンズです。

絞ると更に安定し、高性能な単焦点らしい写りを楽しめます。

電子接点があり、F値が記録出来るのもポイント。

F0.9
超大口径ですが、開放から描写はここまで安定しています。
F2.8。
シャープネスと合焦部の質感、そしてヌケの良さが際立ちます。
ボケも綺麗なままです。

「使える」F0.9

F1を下回るような大口径になってくると、開放付近はじゃじゃ馬な描写を想像してしまいますが、本レンズは想像以上にしっかり写ります。

状況によってはハイライト部のにじみや、高輝度部分のフリンジは出ます。
ただしF0.9というスペックから考えると、しっかり抑制されており、使えるF0.9だと感じます。

色収差の参考までに。

パープルフリンジはそれなりに出ます

圧倒的なボケ

35mm F0.9というスペックは、フルサイズの50mm F1.3くらいのボケ量に相当します。
F1.2に肉薄するそのボケ量は、aps-cであることを忘れさせるほどで、中望遠と見紛うレベル。

その圧倒的なボケ量に加え、どこまでも美しいとろけるようなボケ質がこのレンズの描写を支えます。

味わい

適度に残された収差、美しいボケ、そして心地よい周辺減光が加わり、味わい深い写りをします。
NOKTON 35mm F1.2もそうでしたが、本レンズもクラシックネガが大変良くマッチングします。

また逆光の捉え方が非常に美しいのもポイント。
ふわっとフレアが広がり、わずかにゴーストも出ますが、これがエモさに繋がっています。

値段がネックか

研削非球面レンズの採用によりハンドリングと性能の両立をさせたが故に、値段が実売20万円と高額な部類です。
作例を中々見かけないのは、価格がネックになっている部分が大きそうです。

3.作例

文章でお伝えするより、作例をご覧頂いた方が良いレンズだと思います。
ご自身の目で、このレンズの凄さを感じて頂ければ幸いです。

作例は載せられませんが、ポートレートにも非常に向いています。
自分の子供の撮影に使用していますが、開放から産毛まで解像しつつもお肌はすべすべもちもち、唇つやつやに写ります。

つまり、可愛さ増し増しです。

Xマウントでポートレートを撮影されている方は、一度ご検討下さい。

草花

寄れば大体背景は消し飛びます。

周辺減光も味わいに。

フリンジの参考に。

こちらはF2.8まで絞っています。
絞ってもボケは良好ですが、玉ボケはちょっと角張ります。

こちらはF5.6。

逆光を入れると、特に雰囲気良く切り取れる気がします。

ボケ量比較です。
F2.8と、

F0.9。

スナップ

ガラスもぬめっと質感良く写ります。

何気ない一枚ですが、のれんの質感と雰囲気が大好きです。

4.まとめ

APS-Cながら、フルサイズの大口径に肉薄するボケ量を誇る一本です。
開放からの大口径特有のクセも少なく、臆せず使っていける性能です。

何よりこのスペックで、常用できるサイズに収まっている点がポイント。
性能と携帯性が高い次元で融合した、無二のレンズです。

価格と防塵防滴でない点がネックですが、それを上回る魅力が有ると強く感じます。
大口径好きには是非とも試して頂きたいレンズです!