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X-H2 レビュー

2023年10月19日

いつも本ブログをご覧頂きありがとうございます。

今回はX-H2のスチルメインのレビュー記事をお届けしようと思います。
数値上のスペックではなく、実際に使用した感覚も記載できればと思います。

最初は文章のみで説明しますが、追って写真も掲載していければと思います。

最近の富士はX-H2SやX-T5と魅力的な選択肢が多いので、悩まれている方も多いのではないでしょうか。
私がX-H2に決めたポイントも含めて記載いたしますので、悩まれている方の判断材料の一つになれば幸いです。

T4との違いも別記事に有りますので、買い替え検討されている方はこちらもご覧ください。
X-H2とX-T4の比較について

結論

高画素かつグリップが大きいのはH2だけ

AFもT4と比べて充分進化している

今までのfujifilmのボディの中で1番好き

ハード面

一眼スタイル

X-H2はTシリーズやproシリーズと異なり、モードダイヤルを搭載した他社の一眼スタイルです。
SSやisoは前後ダイヤルや、割り当てたボタンなどで切り替えることになります。
電源を切った状態でも軍艦部と絞りリングを一瞥して設定が分かるT、Proシリーズとは大きな差ですね。
ただ肩液晶が有るので、電源を付けた状態なら設定は一目で分かります。

慣れれば問題ありませんが、最初はモードを切り替えるのにまどろっこしさを感じます。
独立ダイヤルの直感的に設定を変更できる点の素晴らしさを再認識しました。

ダイヤル式は理にかなっていたのですね。

回しやすい前後ダイヤル

SSダイヤルなどがないため、必然的に前後ダイヤルを多様することになりますが、前後ダイヤルの押し込み機能を廃止して壊れにくさを追求したようです。
その結果ダイヤルの回し心地は快適で、剛性感も感じられます。
ダイヤル押し込みは無くなりましたが、すぐに慣れました。

気になった点

ボタン類は必要十分にありますし、カスタム性も高いです。
ただし以下の点が気になりました。
•T4などのAF-C/AF-S/MF切り替えレバーがfnボタン化し、切り替えに1アクション増えた
•グリップが深くなったため、グリップとマウントの間にあるfnボタンが少し押しづらくなった
•軍艦部の一部のfnボタンは位置上押しづらい(特にWBとfn1ボタン)

素晴らしいグリップ

Tやproシリーズと大きく異なる点がもう一つ、それはグリップの大きさです。
H2はT4と比較してボディの奥行きが+20mmくらい大きく、つまりグリップがそれだけ大きくなっています。
そのおかげでT4だとグリップ不足に感じていた、XF16-55mmF2.8やXF50mm F1.0、XF50-140mm F2.8も快適に扱えます。

加えてエルゴノミクス面も良好で、H2を触った後にT4を触るとごつごつした、どこか四角い箱のような感覚を覚えます。

H2の感触が良すぎて、T4を使用すると手が痛くなります。

反面グリップが大きすぎる、ジョイスティックまで指が届かないなどのレビューも散見しますので、可能なら実機を触ることをお勧めします。
私にとってはピッタリサイズで、T4と比較して操作性は向上しました。

※指を伸ばした状態で定規に手を乗せて、中指の先端から手首までが大体19センチでした。
参考になるかは分かりませんが、一応手のサイズを記載しておきます。

美しいファインダー

ファインダーは約576万ドットでT4の約369万ドットと比べると、精細感から来る美しさに違いを感じます。
今まではT4でも満足していたのですが、さらに上を知ってしまい今ではT4ですらモヤっとした感覚を覚えます。(慣れって怖いですね。)
機会があれば、ぜひ店頭などでファインダーを覗いて見てください。

ソフト面

強化されたAF(被写体検出機能)

私の主な被写体は子供と花ですが、子供の歩留まりはX-T4と比較してさらに上がりました。
瞳AFの食いつきが良くなったのと、そもそも瞳AFの際に出る枠がかなり小さくなっており、精度が高くなったことを窺わせます。

ただし横顔では手前の瞳を認識しているのに、奥の瞳に合焦することもありました。
きっちり手前の瞳に合わせたい時は、瞳AFを解除した方が無難な点はマイナスポイントです。

23/05月追記
ファームウェア3.00で横からの被写体認識が強化され、上記の現象はかなり改善されました!

設定次第では動体への歩留まりが上がりそうなので、今AF-Cのカスタム設定を色々試しています。
走って向かってくる子供にある程度バチパンが出来ればもう文句無しですが、果たして。

デジタルテレコン

4000万画素を活かした、×1.4及び×2.0のデジタルズームが可能です。
前者は約2000万画素、後者は1000万画素にクロップされます。

トリミングと大差ないのですが、撮影の段階で構図を決めておけるのは、後の手間を考えるとメリットです。

SNSにアップするなら1000万画素もあれば充分ですし、画素数を落としても問題ない方は大きな恩恵に預かれます。

ズームレンジが狭めなXF16-55mm F2.8も×1.4で77mm、×2.0で110mmまで伸びます。
換算で24-83mmが、×1.4で-117mm、×2.0で-167mmになりますね。

単焦点でも擬似的にレンズを交換した効果を得られるのも特筆すべき点です。
ボケ量が増えるわけでは有りませんが、使用してみると非常に重宝する機能です。

最高1/180,000秒の電子シャッター

従来の1/32,000sから2段分強更に高速なシャッターが切れるようになりました。
大口径レンズを開放で使用する方にとって嬉しい機能ですね。
F1.4以下のレンズだと、恩恵が特に受けられるかと思います。

私はXF50mm F1.0を愛用しておりますので、日中でもNDフィルター無しでF1.0が使用しやすくなり、助かっています。

ただし連写モードだと、シャッタースピードは従来の1/32,000sとなる点には注意です。

水滴一滴一滴もピタリと止まります。

常用感度の低下

従来のiso160から125になりました。
半段分弱と言ったところですが、こちらも大口径を開放で使用したい方には嬉しい変更です。

被写体検出機能

動物/鳥/車/バイク&自転車/飛行機/電車の6種類が搭載されました。
飛行機は余り試せていませんが、その他はかなり認識してくれる印象です。

動物

XF70-300mm
目の拡大
ピントは被写体検出機能任せですが、良い感じです。

XF70-300mm
目の拡大
isoを5000まで上げているので、高感度の作例としても。

Qボタンでは無く、ダイヤルでカスタム切り替え

X-T4やX-Pro3はQボタンでカスタムを切り替えていましたが、X-H2はC1〜C7のモードダイヤルで切り替えます。
物理ダイヤルなので、電源オフ時でもカスタムを切り替えられるのはメリットです。
しかし従来のQボタンでのカスタム切り替えとは勝手が異なるので注意です。

※設定のリセットタイミングについて

X-H2は電源オフオン時、X-T4はカスタム切り替え時に変更がリセットされる。

例1
X-H2:カスタム登録内容のASTIAからクラシッククロームに変更。その後電源をオフオンするとASTIAに戻る。

X-T4:戻らない。

例2
X-H2:C1カスタム登録内容のPROVIAからETERNAへ変更。電源オフせずにC2へ切り替えし、もう一度C1に戻した場合、フィルムシミュレーションはETERNAのまま。

X-T4:カスタム登録内容にリセットされ、PROVIAに戻る。

カスタムの自動更新機能を使用すればX-H2でも変更した時点で保存されますが、一長一短かなと。

個人的には節電で良く電源のオンオフをするので、T4の仕様の方が好みでした。

ノスタルジック ネガ、スムーススキン

GFXの機能でしたが、ついにXマウントにも降りてきました。
ノスタルジックネガはX-H2S及び、X-T5にも搭載されています。
スムーススキンはX-H2とX-T5のみの搭載です。

ノスタルジックネガは優しげな雰囲気で撮影できて、常用出来るポテンシャルを感じます。

スムーススキンはかなりの好印象です。
弱でもつるっとした感じになり、滑らかさを演出できます。
高画素化により毛穴まで写しかねないX-H2ですが、この機能のおかげで肌を滑らかに、キレイに写せます。

X-H2Sとの大きな差別点ですね。

8k動画撮影可能

Xマウントで唯一の8k撮影可能機です。
X-T5との差別点でも有ります。
ただプロでも何でもない私が、8Kまで使用して録画する機会はあまりなさそうです。
再生環境も有りませんし汗

その他細かい点

・デジタルテレコン使用中は、ピーキングなどのMFアシスト機能が全て使用不可になる。

・横顔の瞳認識は手前を認識しているのに、奥の瞳にピントが合うことがある。

・T4はファーカスピーキング中シャッターボタンを半押しするとピーキングが解除されたが、H2はされない。
ピーキングがうるさい場合もあり、消したい際はひと手間掛かることも。
逆にシャッターボタンを半押しすれば拡大機能はオフにしつつ、全体を見ながらピーキングでピント合わせが可能な側面も。

作例

高画素化の恩恵で、より細部までディティールを得られるようになり、写真のリアリティが増したように感じます。
スムーススキンも合わせると、ポートレートでもえも言われぬ質感描写をしてくれます。

高画素化したことによる高感度耐性もさほど気にならず、メリットだけ享受している感覚です。

XF50mm F1.0
XF16-55mm F2.8
XF33mm F1.4
XF33mm F1.4
XF33mm F1.4
50-140mm
50-140mm
50-140mm
50-140mm
50mm F1.0
XF50mm F1.0
XF50mm F1.0
XF16-55mm F2.8
XF33mm F1.4
XF33mm F1.4
XF33mm F1.4
NOKTON 35mm F1.2
XF18-120mm F4.0
NOKTON 35mm F1.2
XF18mm F1.4
XF16-55mm F2.8
XF18-120mm F4.0
XF50mm F1.0
XF50-140mm F2.8
XF18mm F1.4
XF18mm F1.4

X-H2に決めた理由

グリップが大きい
高画素による写りのパワーアップ、デジタルズーム

この2点を満たすのはX-H2のみで、これが決め手でした。
メインレンズが大きくて重い方、風景など高画素の恩恵を受ける被写体を撮影される方はH2がトータルでおすすめです。

H2購入で心配な点は動体へのAF性能とX-H2Sの存在でした。
T4比で向上はしているものの、H2Sだったら・・・と思うことは有ります。
しかし私の撮影する被写体においては高画素のメリットが上回っているのと、T4比できちんとAF性能も向上していたので、H2Sに買い替え等は今のところ全く考えていません。
H2Sを購入する際は純粋な買い増しだろうな、と感じています。
富士フィルムの戦略にまんまとハマっていくスタイル笑

レンズが軽くて小さいものメインならH2のグリップは大きすぎるかと思いますので、T5が有力になってくると思います。

H2にオススメのレンズ

グリップが大きいので必然的に大きくて重いレンズがオススメに挙がります。
勿論コンパクトプライム系でも、エルゴノミクスの良好さから来る快適性は享受できます。

ちなみに公式が発表した4000万画素対応レンズ外でも画質の向上は楽しめるのでご安心を。

XF16-55mm F2.8 R LM WR

H2を使用するなら、まずはこのレンズをオススメします。
このレンズ自体大きく重めですが、太さ故にがっしり握れて心地よいです。
そこにH2の大きなグリップが加わる事で、重いながらも快適に扱えます。

写りの面においても、絞り開放から4000万画素にしっかり追従している印象を受けます。
最新のレンズであるXF18-120mmなどと比較してもなお写りは上と、孤高の存在です。(発売年に7年ほど差があるはずなのですが・・・)

XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR

約1キロと重いレンズの為、大きなグリップがあるボディとの相性は良いです。

ただし写りにおいては、XF16-55mmほど開放からシャープでは有りません。
開放から必要十分に解像していますが、どこか柔らかさを残した感覚です。
F4まで絞ればしっかり解像するので、ボケ量と天秤に掛けて使用しています。

その分美しいボケが堪能できるので、そもそも16-55mmとは性格が異なるレンズです。

XF18mm F1.4 R LM WR

現時点でXマウント最高峰の解像度を楽しめる組み合わせです。
新F1.4シリーズはどれも開放からシャープですが、このレンズはさらに解像力が高く、XF33mm F1.4よりさらに上の解像力を誇ります。

加えてH2のデジタルテレコンで換算38mm/54mmになるため、擬似的に35mm/50mmにレンズ交換した感覚で使用できる点も好相性。

レンズ自体小さくはないので、H2の大型グリップと組み合わせても違和感無く気持ちよく扱えます。

最高クラスの解像力に興味がある方は是非検討ください。

個別レビューはこちら

XF50mm F1.0 R WR

レンズ単体で約845gと重量級のレンズです。
T4のグリップだと、左手でレンズをしっかり支えて右手は添えるだけ、といった持ち方をしていました。
浅いグリップで重たいものを無理やり持とうとすると、右手が攣るんですよね汗

しかしH2の良好なグリップだとそのような事もなく、扱いやすくなりました。

4000万画素にしっかり対応しており、F1.0が織りなす特別な写りが楽しめるレンズです。

まとめ

トータルバランスでH2を選びましたが、満足しています。
H2Sより劣るもののAFもしっかり進化しており、T4と比較して子供撮影の歩留まりも向上しました。

またグリップなどエルゴノミクス面も良好で、快適性もアップしています。

ソフト面は細かいところで気になる点はいくつか有りますが、ファームアップでの改善に期待です。