カテゴリー

SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art レビューと作例

2024年6月26日

異次元の描写に惚れ込む。 大口径好きに推したい一本。

いつも本ブログをご覧頂き、ありがとうございます。

発売してすぐ購入した50mm F1.2 DG DN | Artがとても素晴らしいレンズだったので、作例をお届けしたいと思った次第です。

※購入したのはLマウント版です

カタログスペック

主な項目を抜粋してお届けします。

サイズφ81.0mm x 108.8mm
重量745g
フィルター径72mm
レンズ構成12群17枚
最短撮影距離40cm
最大撮影倍率1:6.2
絞り羽根枚数13枚
最小絞りF16
防塵防滴対応
AF方式HLA
(High-response Linear Actuator)
物理
スイッチ
絞りリング
AF/MF切り替え
AFLボタン
絞りリングクリック切り替え
絞りリングロックボタン

特筆すべきは、クラス最軽量を謳っている重量とサイズかと思います。

フルサイズミラーレスの50mmF1.2のレンズを下記にまとめましたので、ご参考までに。

メーカー重さサイズ
SIGMA740gφ81.0mm x 108.8mm
Nikon1090gφ89.5x150mm
SONY778gΦ87.0mm×108.0mm
CANON950gφ89.8×108.0mm

使用感

ARTレンズだけあって、大変満足しています。

高速なAF、物理スイッチの節度感と操作感も心地良いものです。

絞りリングは勝手に回るようなことはなく、小気味良く操作できます。また、フォーカスリングもしっかりとした心地良い重さを感じます。

また、絞りリングのクリック感のオンオフ機能は初めて体験しましたが、スチルでも地味に嬉しい機能です。
被写界深度をシームレスに調整出来るのと、そもそもクリックありと比べて回しやすいので、かなり気に入りました。

ビルドクオリティは金属では無いものの、安っぽさは全く感じず好印象です。

描写

解像力とボケと各種収差の補正が高い次元でまとまった、全く隙のないレンズです。

使用していて、描写面に不満に感じることは誇張なしに一切有りません。

美しいボケと立体感

とにかく立体感を感じる場面が多いレンズです。

近〜中距離の被写体をすっと浮き上がらせてくれます。

それだけでも楽しいのですが、加えてボケが非常に美しいのもポイント。

ドリーミーにボケてくれます。

絞っても、その美しさは維持されます。

F1.2

玉ボケについては、開放は口径食が出ますが、F2辺りからほぼ丸になります。

F2.8

年輪ボケはほぼ確認できませんので、美しい玉ボケが堪能出来ます。

心地良い解像感

ボケが美しいとその分解像力がトレードオフになるレンズも有りますが、本レンズはどうでしょうか?

下記の写真は開放・2400万画素で撮影した一枚です。
ピント面を拡大して見てみます。

2400万画素ながら、花びらの質感まで克明に写しとっています。
かつ、嫌味なカリカリ感は全く無く、シャープながらも柔らかさを兼ね備えたレンズと言えます。
開放でここまで写るのは、個人的に感動ものです。

さらに、開放・最短撮影距離でも甘さを感じることは全く無いです。

ピント部拡大
驚異的な描写だと思います

ちなみに、遠景の開放も満足レベルでした。

中央の塔を拡大した写真がこちら。
大口径の開放とは思えないレベルで写っています。

そつのない描写

大口径レンズにありがちな危うさはほぼ感じられず、そつのない描写をします。

開放の1枚です。
球面収差の影響は無く、シャープに写っています。

色収差についてもしっかり抑制されており、厳しいシーンでのみ発生します。

逆光の枝は定番ですが、開放でもご覧の通りほぼ出ていません。

トリミング

このレベルで、ようやくはっきり出るかなという感じです。

作例

草花の作例がメインとなります。

前後共に美しいボケは草花の撮影にピッタリです。

その解像力の高さから、絞っても楽しいレンズです。

たまにゴーストが出ます。

ボケ量のおかげで、中望遠で撮影したと見紛う1枚が撮れたりします。
まさに大口径の醍醐味ですね。

像が背景から分離しています
50mmで撮ったとは思えない一枚
これもあたかも中望遠で撮影したかのような1枚に見えます。

フレアも出たりしますが、逆光耐性も特段気になる点は有りません。

被写界深度の浅さで前景と背景すら作り出せます

モノクロも雰囲気良く切り取れます。

クローズアップレンズで弱点を補う

このレンズの最大撮影倍率は1:6.2、約0.16倍と大きく寄れるレンズでは有りません。
草花の撮影だと「もう少し寄りたい」シチュエーションが出てくるので、それを叶えるのに持ち歩いています。
ピントの合う範囲が非常に狭くなりますが、最大撮影倍率はおおよそ0.25〜0.30倍辺りまで伸びますので、構図の整理には便利です。

画質も極端に悪くなることもなく、満足しています。

上記の拡大画像です。
F3.2まで絞っていますが、ご覧の解像力です。

絞らないと被写界深度の浅さも相まって、このようなドリーミーな雰囲気になります。

絞ると適度に画面の情報が増えて、かつ解像力も増します。

マクロとまでは行きませんが、小さな世界の入り口くらいなら見えます。

クローズアップレンズを併用すれば、寄りたい時のレンズ交換の頻度が減ります。

NDフィルターは必須

晴天の日中で開放を使用するなら、NDフィルターは必須です。
私が使用しているカメラのシャッタースピードは1/8,000sまで、最低感度は100ですが、上記のシチュエーションですと3段分前後は不足します。

このようなシチュエーションは富士の1/32,000sや1/180,000sが羨ましくなります。

まとめ

大口径ゆえの圧倒的な写りと、隙のない描写を両立した現代レンズです。

収差を徹底的に取り除いた無味無臭の写りをする訳でなく、シャープながらも草花を柔らかく、そして瑞々しく切り取れます。

今まで50mmは8本ほど使用しましたが、性能・写り共に文句無しでNo.1です。
※asp-cレンズが大半なので、純粋な比較にはならないと思いますが・・・

これ一本で勝負したいと思える、そんなレンズです!

当初はsigma fpに使用する前提で購入しましたが、手ぶれ補正とメカシャッター込みでこのレンズを全力で使用したくなってしまい、レンズからボディが生えてしまったのはまた別のお話。